はしまや

ABOUT

atelier & salon はしまやについて

長きに渡って築き育まれたサロンを引き継ぐ

長長きに渡り義母が営んできた「夢空間(サロン)はしまや」が好きでした。
築約150年の米蔵を再生した空間が醸しだす包まれるような安心感。コンサートや作品展に多くの人が集い、楽しそうに交流する姿。そんなサロンを引き継いでほしいと話があったとき、まだ下の子は生まれたばかり。更にコロナ禍で飲食業が厳しい状況ではありましたが、迷うことはありませんでした。

長年バーテンダーとして働いてきた経験を生かしながら、歴史と暮らしが調和する東町「奥クラシキ」で、古き良きものをみなさまと一緒に楽しみたい。健やかな暮らしや知恵を受け継ぎながら、季節の移ろいを楽しみたい。現代のものづくりの素晴らしさや、それらを使い、伝えて、また次世代の子供たちに渡したい。

そんな想いを胸に、2022年3月「atelier & salonはしまや」としてリスタートしました。

「発酵」を軸にメニュー考案

受け継いだサロンのテーマは「発酵」。
3棟並ぶ蔵のひとつ「漬物蔵」が「発酵」に興味を持ったきっかけでした。楠戸家の先人たちは主屋で商いをしながら、ここで働く人や家族のために旬の食材で漬物などの保存食づくりに勤しみ、暮らしを楽しんでいたのでしょう。滑車や大きな味噌樽、柄杓や櫂(かい)、桶などの道具が置かれ、中はひんやりと貯蔵室としての空気感をそのままに、目に見えぬ微生物たちの気配に生活の礎を垣間見たような気持ちになったことを覚えています。

そして、出会った「白麹」という美しい麹。
この麹が探求心を呼び起こし、今に繋がります。

微生物の活躍の場を、人の手で少しだけ整えてあげることで、おいしい食べ物が出来たり、栄養価が上がったり、保存性が格段に増したりします。古代から人は微生物が引き起こす「発酵」の恩恵をありがたくいただいてきました。

美味しさの可能性を求めて「極上の一杯」を

バーテンダー時代、常に心がけていたのは「向き合う」ということ。
多種多様なお酒の知識・文化を学び、五感を研ぎ澄ませ、「極上の一杯」に心を尽くしてきました。
また、さまざまなコンクールの経験は、プロとしての意識と技術の向上に繋がり、多くの出会いと学びがありました。

香りや味わいを組み立てていく楽しさは今も変わることはなく、どのように食材を組み合わせると魅力が増すのかを研究していくなかで、白麹や酒粕、味噌など発酵調味料を使った身体と心が喜ぶメニューをはじめ、旬の野菜や果物とお酢との相性を存分に味わっていただけるピクルスなどを、培ってきた構成力を生かし日々考案しています。そしてそれは、安心していただける食材があってこそ。丹精込めて育てられた食材を届けてくれる生産者さんの皆さんに心から感謝しています。

お客様を楽しませるおもてなしの心を大切に、趣ある空間で「極上の一杯」を楽しんでいただき、お帰りの際に少しでも前向きに進めますようにと願いを込めて、毎朝一貫の氷を割り、アイス珈琲やモクテルを注いでいます。(2022年9月)

Profile

atelier & salonはしまや
楠戸まゆみ

1985年生まれ。B型。盆栽好きな祖父が実から弾けて花のように化する「マユミ」の木から名づけてくれました。2005年よりバーテンダーとして「Bar. ricscafe」をスタート。日本ソムリエ協会認定ソムリエール。カクテルコンクール受賞歴多数。現在二児の母。「発酵」というキーワードが時代を跨ぎ歴史と暮らしを調和させるという想いを込めて、次世代へ紡ぎたく日々の手帖をしたためています。